【研究紹介】データ分析と医療・衣笠ジョシュアさん

研究と学校を両立させるために転校!

 数学・プログラミングを得意とする衣笠ジョシュアさん

 

勉強と部活、あるいは学校と習い事をいかに両立させるかという問題はどの中高生にもある悩みですが、MANAIに通う衣笠ジョシュア・カペロウィッツ(Joshua Kinugasa Karpelowitz)さんの選択は少しユニーク。MANAIのSummer Programに参加したジョシュアさんは、今後も研究を続けたいと希望します。しかし、当時通っていた学校が千葉にあったため、現状では両立が難しいと、なんと転校を決意します。8月の頭にSummer Programが終了してからの行動はまさに迅速。その月のうちに通っていた学校に退学届を提出し、9月からは都内にある少人数のインターナショナルスクールに転入しています。

今回は、研究のために転校というまさかの選択を取ったジョシュアさんにお話を伺います。

――MANAIのプロジェクトに最初に参加した時の様子を教えてください。

(ジョシュアさん、以下J)中学2年生だった2019年のSummer ProgramがきっかけでMANAIを知りました。母の知り合いから口コミでMANAIのこと聞き、面白そうだと思って参加しました。参加した後は今後も研究を続けたいと思いました。でも通っていた学校が遠かったので、そのままでは両立は無理でした。そこで転校しました。

――両立させるために学校を変えるというのは思い切った決断ですね。

(J)僕は英語1科目の帰国入試で中学校に入ったのですが、4教科で入った生徒のレベルが高く、帰国生は皆成績不振に悩んでいました。学校に抗議する保護者もいました。千葉と市ヶ谷(MANAIのオフィス所在地)は遠すぎたので、ちょうど良いタイミングでした。

――科学にはいつごろから興味を持っていましたか?

(J)小学生のころから家で実験などはしていました。そのほか、プログラミングでチェスの答えを作ってみたり、立方体を4次元・5次元に引っ張っていったらどうなるか、などを自分で考えたりしていました。

――現在もプログラミングを得意としていますが、プログラミングを始めたきっかけは何でしょうか?

(J)小3の時、通っていたインターナショナルスクールの授業でプログラミングをやったのがきっかけです。英語や社会などの科目は答えがいくつもある。でも数学は答えが1つ。方法はいろいろあっても、たどり着く答えは1つ。そこが好きです。プログラミングも似たような理由で導き出せる答えがはっきりしているので好きです。逆に、暗記科目や国語は今でも苦手です。

「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)に参加した時の様子(右がジョシュアさん)。

 

――ジョシュアさんは昨年、JAXAなどが主催している『第1回「きぼう」ロボットプログラミング競技会(Kibo-RPC)』の本選(世界大会)で優勝しました(プログラミングスキル部門)。この競技会はどうして参加しようと思ったのですか?

(J)以前、別のクイズ大会で知り合った佐藤裕成くんに誘われて、チームを組むことになりました。各国で予選が行われるのですが、高校生・大学生が多く、東大チームもあったので決勝にいくのは厳しいだろうなと思っていました。

――ところが、決勝進出どころか本選(各国の予選を勝ち上がったチーム同士の決勝)で優勝しましたね。

(J)運が良かったと思います。決勝(オーストラリア・インドネシア・日本・シンガポール・台湾・タイ・アラブ首長国連邦から313チーム、1,168人の学生が参加)も大学院生のチームと大学生のチームが大半。自分たちを除けば、オーストラリアのチームには中高生がいました。国際宇宙ステーション(ISS)の空気漏れをAstrobeeというドローンを使っていかに早く修復するかというプログラミングのシミュレーションでしたが、予選の時とは違って準備に多くの時間をかけました。実際にロボットをきぼう船内で飛行させる競技はトラブルなどがあってうまくいきませんでしたが、いい経験になりました。

――現在はどのような研究をされていますか?

(J)医療にも興味があるのですが、専門知識があるわけではないので、医療に関連しつつこれまでのプログラミングなどが生かせるテーマを探しました。僕の強みはデータ解析。でも、データそのものにはお金はかけられない。公開されている研究成果から、信頼がおける内容をメンターの先生と選び、現在やっているゼブラフィッシュの研究を始めました。データは現在解析中ですが、今月末の日本神経科学大会でポスター発表します。

――簡単に研究内容を教えてください。

(J)ゼブラフィッシュがエサ(獲物)を視覚で認知した時に、実際に捕獲するまでの行動へと情報がどのように脳内を伝達しているのかを、2つの研究のデータを合体させて見ています。

――ゆくゆくはどのような技術に繋げたいですか?

(J)情報がどのように脳内で伝達しているかが解明できれば、電気刺激で痛覚を無効にすることも可能になると思います。また、事故で脳に損傷を受けた人の脳機能を補ったり、腕を失った人が電気信号で義肢を動かせるようになったり。アルツハイマー型認知症の進行を遅らせたり、と。でも、そこにたどり着くのは(着けるとしても)まだまだ先です(笑)。

――普段のスケジュールを教えてください

(J)学期中は、週に3回ほどMANAIが契約している研究室に行き、土日はワークショップなどに参加していました。僕は飛び級をして現在高3なので、今年受験があります。朝5:00に起きて暗記科目やそのほかの受験勉強をした後、午後は毎日研究室に行っています。国立大学を受けようと思っているので、科目数が多くて大変です。

――MANAIで研究を続けて良かったと思うところは何でしょうか?

(J)最初は数学のホモロジーをやったり、次にプログラミングをやったりと、その場その場で好きなものを選んできましたが、それぞれが必ず次の研究に繋がります。幅広い分野に触れることができるので、この経験は将来の研究に生きると思っています。